今季の位置づけとは何だったのか。中日森監督は昨年の就任会見で「1年で(の立て直し)は難しいところまできている」と低迷の深刻さを認めていた。

 だが白井オーナーが「優勝するかも」と話すなど、新監督への期待は膨らんでいく。土台作りをしながら、貪欲に勝利を求めなければならない。6~7月にはAクラスが近づいたこともあり、現場のジレンマは常に見え隠れした。

 開幕ローテはバルデスを2戦目から中4日、中5日で詰める日程。頼れる存在ではあるが、他の投手の出番は食われる。期待の高い鈴木はオープン戦で結果を出しながら開幕ローテを外れた。「結果」で競争をあおっていた首脳陣は、開幕間近になって内容を理由に鈴木を外した。

 2軍エース格だった阿知羅は8月上旬、プロ初先発日が雨でなくなると、すぐ2軍に逆戻り。数日後に昇格したが、出番は救援(3回2失点)で、すぐまた2軍行き。ブルペンで状態が悪かったとの声もあるが、複数の2軍スタッフは「なぜ1軍では中継ぎなのか」と首をひねった。初先発したのは10月だった。

 西山球団代表はシーズン終盤、「3年後、5年後にどんなチームにするのかが1番大事」と強調した。京田や福田が主力級に育ち、鈴木も5勝を挙げ、小笠原は我慢が実って一皮むけた感がある。確かに底上げは進んだ。それでも今は、球団史上最悪の低迷期。「3年後、5年後」を見据えた、より一層の覚悟が問われる。(おわり)【柏原誠】