楽天茂木の強烈な打球が、メットライフドームの中空を切り裂いた。初回、西武十亀の初球カーブをバックスクリーン左へ放り込む先頭打者アーチ。「センターフライかと思ったが、強くバットを振れたので面白いかな、と。入ってびっくりした」。CS史上11本目(10人目)のプレーボール弾でチームを勢いづけた。

 東京・小金井市出身。少年時代は西武ファンで、西武ドーム(当時)に足しげく通ったが、背番号なしのユニホームを着ての応援にこだわった。

 茂木 僕は、これまで目標を作ったことがない。何かを設定すると、その段階で成長が止まってしまう気がした。どんどん成長したいから、理想の選手を作らなかった。オンリーワンの存在になりたい。誰も見たことがないような選手になりたいんです。

 楽天ファンから「モギモギ」の愛称で親しまれる唯一無二の男は「最後の試合かもしれないので、正直開き直って。ポジティブにプレーできたのがよかった」と胸を張った。梨田監督も「茂木の本塁打で始まり、嶋もスクイズを決めてくれた」と称賛。茂木は「明日(16日)の試合で決まる。しっかり準備して臨みたい」と意気込んだ。【田口元義】

 ▼茂木が十亀の1球目を先頭打者本塁打。プレーオフ、CSの先頭打者本塁打は16年1S<2>戦清田(ロッテ)以来10人、11本目。1回表の初球を打った「プレーボール本塁打」は05年1S<1>戦栗山(西武)16年1S<2>戦清田に次いで3人目だ(他に1回裏の初球が1人)。この1発で先制した楽天が逃げ切り、先頭打者本塁打がV打は80年<1>戦平野(近鉄)09年1S<1>戦高須(楽天)に次いで3人目。日本シリーズでは初球を打った先頭打者弾がなく、プレーボール本塁打のV打はポストシーズン史上初めてだ。茂木は今季公式戦で先頭打者弾が6本あり、そのうち3本が初球(表1、裏2)だったが、CSでも1球目から思いっきり振って結果を出した。