西武牧田和久投手(32)が新天地でプレーする可能性が、6日までに高まった。国内フリーエージェント(FA)権を取得。さらにこの日、希望していたポスティングシステムを利用しての大リーグ移籍を、球団側が容認する方針を示した。野球人生の集大成へ、新たな環境に身を置く決断をするとみられる。

 10日に33歳を迎える。かねて「ポスティング、FA、残留を含めて考えたい」と、あらゆる可能性を選択肢とする考えを明かしていた。他球団の評価を聞いてみたい思いから、国内FA権の行使を視野に入れている。メジャーについては、「年齢的にも(今年が)ラストチャンスかなと思う。ベースボールを知りたい気持ちがある」と口にしてきた。

 この日、鈴木球団本部長は、ポスティングシステムによるメジャー挑戦を「その方向で、と思っている。本人(牧田)の意思が強い部分があったので」と認める考えを示した。ただ、同システムは、NPBとMLBの間で改定交渉中。最終合意に至っておらず、利用手続きができないのが現状だ。

 国内FA権行使のための申請期間は今月14日まで。ポスティングシステムの改定交渉がまとまる前に、締め切り日を迎える可能性がある。またメジャー移籍を進める際は、所属先の決定が年明けまでかかることもある。コンディション面に影響を及ぼしかねないことも考慮する必要が生じる。西武への愛着はあるが、国内移籍を念頭に置きながら、米球界も含めて進路を熟考することになりそうだ。

 ◆ポスティングシステムの現状 海外FA権取得前の選手が大リーグ移籍できる制度で、日本野球機構(NPB)は、5月に米大リーグ機構(MLB)から改定の申し入れを受け、協議を続た。同システムの申請期間は11月1日からだが、改定交渉は同日までに合意に至らず、申請開始は新制度締結後に持ち越されている。従来は大リーグ球団が日本球団に支払う譲渡金の上限額は2000万ドル(約22億円)に定められていた。新制度では、MLB側から「契約金と総年俸、出来高払いを含めた総額の15%」など契約総額によって譲渡金が変動する案が提示された。現在はMLB側からの返答待ち。合意に至っても適用は来シーズン以降になり、今オフは上限額2000万ドルが採用される可能性もある。