巨人育成8位の関根学園・荒井颯太外野手(18)が6日、同校で井上真二チーフスカウト(51)と木佐貫洋スカウト(37)から指名あいさつを受けた。190センチ、100キロのパワーヒッターは全体最下位指名から、7球団が競合した日本ハム1位清宮幸太郎内野手(18=早実)超えを誓った。

 荒井は強心臓だった。2人の巨人スカウトを前にしても一切、硬さを見せなかった。唯一、緊張したのは「ドラフトのときより、カメラがたくさんいる」というインタビューのときだけ。ドラフトの超目玉で日本ハムが1位くじを引き当てた早実・清宮に対しても、「いつかは追いつき、追い越すことができるように頑張りたい」。全国的には無名のスラッガーは、同学年のエリートに強いライバル心を燃やした。

 北信越地区を担当して2年目の木佐貫スカウトは、荒井を初めて見た印象を鮮明に覚えていた。「6月3日の北信越大会。シートノックで、体格が立派なのが目についた。右翼から三塁と本塁への返球も、しっかり投げる」。1回戦で啓新(福井)に0-9の8回コールド負けも、阪神6位の最速152キロ右腕・牧丈一郎から2安打を放った。「いい投手からも打てる」とほれ込んだ。北信越を担当して初めて獲得した選手になり、「右の大砲というか、強打者としてステップアップしてほしい」と期待を込めた。

 荒井は前日5日に東京でメディカルチェックを受けた。8位指名の高崎健康福祉大高崎(群馬)湯浅大内野手らと東京駅で待ち合わせて、都内の病院に直行した。「どんな練習をしているのか」という言葉を交わした相手は、入団後は競争相手になる。しかし、荒井は「3軍からのスタート。まず、身近の選手から技術を盗んで、支配下登録選手になりたい」と1歩1歩、目標に近づく決意だ。「長打力を評価されていると思う。打撃を磨いていきたい」。安川斉監督(57)も「未完の大器。大化けする要素はある」と、愛弟子の才能が開花するときを、心待ちにした。【涌井幹雄】