プロ野球の守備のベストナインを選ぶ三井ゴールデングラブ賞が9日発表され、阪神鳥谷敬内野手(36)が三塁で初受賞した。遊撃で4度受賞している名手は、今季から本格挑戦したホットコーナーで華麗なグラブさばきを披露。攻守で復活をアピールした1年になった。選考は全国の新聞、通信、放送各社のプロ野球担当者の投票で行われ、有効投票数はセが259、パが249だった。

 

 「不死鳥」に新たな勲章が加わった。阪神鳥谷が「ゴールデングラブ賞」の三塁手部門で初選出された。遊撃では過去4度受賞しているが、今季転向した三塁手部門では初受賞。DeNA宮崎を21票差でかわし、球団を通じて喜びのコメントを発表した。

 鳥谷 三塁手として年間を通じてプレーするのは初めてでしたが、他球団にも守備力の高い三塁手がいる中で選出していただき、本当に光栄に思います。

 1年前を振り返れば、感慨深い名手返り咲きといえる。絶不調に陥った昨季は遊撃レギュラーの座を奪われ、オフはゼロからのスタート。2月の沖縄キャンプでも遊撃ポジションを争い続け、三塁転向に向かったのは3月に入ってからだった。三塁用グラブの作成を決めたのも4月中旬。そう考えれば、三塁鳥谷のゴールデングラブ受賞は快挙と表現できる。

 5月に顔面死球を受け、鼻骨を2カ所骨折した後も連続試合出場を継続。骨がくっついていない状況でも三塁守備に戻り、堅実な動きを披露した。三塁になじんだシーズン中盤以降は華麗なハンドリングで沸かせる場面も増えた。

 複数ポジションでの同賞受賞はリーグ6人目。虎では81年藤田平以来、2人目の偉業となる。遊撃手から三塁手に移っての受賞は名手・ヤクルト宮本慎也と同じ流れだ。「現状に満足することなく、これからも向上心を持って練習に取り組み、来年以降も選出していただけるように頑張りたいと思います」。来季、三塁鳥谷のさらなる進化に期待が集まる。【佐井陽介】

 ▼阪神の選手が三塁手としてゴールデングラブ賞を受賞したのは、掛布雅之(78、79、81、82、83、85年)、オマリー(92年)に次ぎ3人目。複数の守備位置での獲得は、藤田平が遊撃手(73、75年)、一塁手(81年)で受賞して以来、球団2人目。