阪神金本知憲監督(49)がポスト大和育成を誓った。国内FA権を行使した大和内野手(30)のDeNA入団が11月30日に決定。これを受け、金本監督は今日1日付で常務取締役から昇任する谷本修副社長兼球団本部本部長(53)と電話会談。名遊撃手の退団を惜しみながらも、後任育成を約束した。候補には大山悠輔内野手(22)をはじめ西岡、糸原、北條、植田らが挙がり、来春のキャンプでは激しい遊撃バトルが勃発しそうだ。

 大和から谷本球団本部長に阪神退団、DeNA入団の電話連絡があったのは、11月29日夜のことだった。深夜の時間帯だったが、谷本球団本部長はすぐさま金本監督と電話会談。当初から残留を強く希望していた指揮官だけに、「ちょっと残念ですね…」と声のトーンが落ちたという。だが「ポスト大和、頼みますよ」の言葉に、「任しといてください!」と力強いコメントが返ってきた。金本監督の気持ちは切り替わっていた。

 もちろん、名手の穴を埋める作業は簡単ではない。だが、ポスト大和には鍛えがいのある選手の名前が大勢挙がる。糸原、北條、植田、再起を期す西岡、そして大山も有力候補の1人だ。この日、甲子園の球場施設に姿を見せた久慈内野守備走塁コーチも遊撃大山について、強い口調で「なくはないよ」と力を込めた。

 大山は1年目の今季、主に一、三塁と外野を守った。10月下旬の甲子園秋季練習からは二塁守備にも着手。さらに11月の高知・安芸キャンプでは、金本監督が「チャンスが広がる」と遊撃にも挑戦させた。

 打撃では1年目から非凡なパンチ力を披露し、4番も務めるなど7本塁打をマーク。DeNAとのCSでは13打数7安打4打点の大活躍を見せた。181センチ、85キロ。4番も張れる大型遊撃手誕生となれば、阪神はもちろん、球界でもレアで夢のある話だ。大和とは正反対の特徴を武器とする若虎が、攻守の要となってV奪回を導くキーマンになるかもしれない。

 もちろん、西岡をはじめ、糸原、北條、植田らも、遊撃の座を大山に簡単に譲るつもりはない。2月の沖縄・宜野座キャンプでは、ポスト大和を巡る激しいバトルが展開されそうだ。

 阪神は来季、開幕2カード目の4月4日から、敵地横浜でDeNA2連戦がある。その時のベイスターズの遊撃は、大和が守っている可能性がある。対峙(たいじ)する虎の遊撃は誰になるのか。センターラインの象徴、大和の穴は現有戦力の底上げでカバーする。流出の日、金本監督は誓いを新たにした。【桝井聡】