仙台市出身の西武本田圭佑投手(24)が21日、宮城・利府西中学校を訪問し、「夢先生」を務めた。被災地の子どもたちに笑顔を与えることを目的に行われているスポーツこころのプロジェクト(主催・日本体育協会など)の活動で、2年4組の生徒36人に約1時間半、授業を行った。

 体育館で生徒とのキャッチボールやミニゲームで交流したあと、スーツに着替えた本田は、いよいよ人生初の教壇に立った。「うさぎとカメの話は知ってますか?」と切り出し、童話に例えてこれまでの自身の野球人生を振り返った。小学校3年で野球を始め、「中学は硬式チームに入りたかったが、実力に自信がなかった」と軟式野球部に入部してショートを守った。高校も「自分の実力にちょうどいい」と東北学院高(宮城)に進学。どこにでもいる普通の野球少年だった。

 転機が訪れたのは10年夏の宮城大会。2年生エースとして、延長15回引き分け再試合を制するなど8強入りした本田は、同年に行われたサッカーW杯南アフリカ大会で大活躍した本田圭佑と同姓同名のエースとして、注目を集めた。「名前で注目されているのは分かっていたが、うれしかった。もっと練習して、実力で注目されようと思って必死に取り組むようになった」と力に変えた。甲子園出場はならなかったが、東北学院大で通算15勝を挙げ才能が開花。本田は「お世話になった指導者からは『努力する才能だけは一番だった』と言われた。自分はカメで生まれたが、努力を続けてプロになれた。みんなも夢を諦めず、最後まで挑戦して下さい」とエールを送った。

 プロ2年目の今季は5試合に登板するも、いまだ勝ち星はゼロ。来年1月には、今オフ西武からフリーエージェント(FA)で巨人に移籍が決まった野上亮磨投手(30)と自主トレを行ってレベルアップを図る。本田は「まずはプロ初勝利、そして10勝以上出来る投手を目指す」と、夢を語った。【林野智】