ヒロシの意外な一面、どころか6面教えちゃいます! 中日ドラフト1位のヤマハ・鈴木博志投手(20)が得意の6面立体パズルを片手に、プロ1年目への熱い思いを語った。浮かび上がったのは6つのキーワード「練習の虫」「ケガの連続」「計画上手」「キンブレル」「多趣味」「ギャップの男」だった。【取材・構成=宮崎えり子】

<1>練習の虫

 各スカウトから聞こえてきたのが「よく練習する」という声だった。鈴木博には信念がある。「人と同じことをやっていても、それ以上にはならない」。高校2年の冬に右肘を痛め、3年秋に手術。リハビリと向き合った社会人1年目、ウエートトレーニングに励んだ。球速の元になった背筋は「300キロ測れるものでエラーが出た」というほど鍛え抜いた。

<2>ケガの連続

 リハビリから始まった社会人野球だった。投げられるようになってからも、練習を人よりする分だけケガに苦しんだ。「(社会人3年目の)17年は自分が中心でやるんだと、張り切って投げ込んだ」ところ、3月のオープン戦で右前腕の肉離れ。それでも補強選手として出場した都市対抗、社会人日本代表とアピールの場には完治し、快投を続けた。

<3>計画上手

 ヤマハ入社前に目標を立てた。1年目は徹底的にリハビリとトレーニング。2年目に150キロ超え。3年目にはチームの中心になってドラフトで指名される。「全部その通りになった。プロは1年目は開幕1軍。京田さんに続くように新人王を狙いたい。3年目にチームのエース。10年後には日本のエースになりたい」とはっきり将来を見据えている。

<4>キンブレル

 社会人でまず抑えを任され、研究を進めた。見つけたのがレッドソックス・キンブレルの動画。通算291セーブの現役右腕が投げるボールに「なんじゃ、これ。こんなに球が浮くのか」と一目ぼれした。前かがみになり、右腕を三塁方向に突き出す「独特のサインの見方もなくてはならないもの」。唯一無二の存在であることに憧れ、鈴木博もプロで守護神を狙う。

<5>多趣味

 得意だという6面立体パズルを実演してもらうと、本当に1分ちょっとで全面をそろえてみせた。ほかにも自転車、ゴルフ、バスケットボール、映画観賞、描画、工作…。探求心があり、手先も器用だ。「本当はサッカーをやりたかったけど、投げるのが好きだった。だから野球を始めた」。サッカーが盛んな静岡から最速157キロ右腕が生まれた。

<6>ギャップの男

 ギャップが投球のカギ。ゆったりとしたフォームから繰り出す力強い球でねじ伏せる。中学生のときにロッテ唐川の動画を見て「ゆったりしたフォームが美しくて、かっこいいと思った。速くも感じた」。ちなみに落ち着いた外見とは相反して「甘えたい性格」という。女優の柴咲コウのようなきれいな年上の女性がタイプ。グラウンド外でもギャップがキーワードだ。