日本ハムのドラフト1位の清宮幸太郎内野手(18=早実)が28日、成田空港から1次キャンプ地の米アリゾナ州スコッツデールへ出発のはずが、とんだハプニングに見舞われた。午後8時出発予定のチャーター機の機体に不具合が発覚。機体変更し、約2時間遅れて午後10時に出発した。清宮は、遅延が決まる前に取材に応じ、いざアリゾナと乗り込もうとしたものの、首脳陣や選手、球団関係者、報道関係者を含めて約130人とともに足止め…。ドラマを呼ぶ男は、プロ初のキャンプ地入りで早速“伝説”を作った。

 まさかの2時間遅延だった。チャーター便が、機材の不具合により定刻でフライトできなかった。当初は成田空港を午後8時に出発する予定。同7時20分からのセレモニーに栗山監督と中田ら6選手が臨んだ後、搭乗時刻の同7時半になっても搭乗をうながすアナウンスがなかった。同7時50分に全日空(ANA)は「使用する機体に不具合があり、出発のメドが現状で立っていません」と放送。同8時10分過ぎには機体の変更が正式決定した。出発時間は同10時となった。

 清宮は、颯爽(さっそう)とチャーター便に乗るはずだった。午後6時50分、搭乗口で囲み取材が行われた。紺のスーツに身を包み、出発前の心境を語った。チームの新人唯一の参加となる米アリゾナキャンプへ向け「やっと今日から始まるんだなという感じ」と、意気込んだ。

 2月10日の韓国・KT戦を皮切りに、実戦が組まれている。初めてプロの投手を相手に対戦する。「そこがスタートになってくると思うし、そこで自分がどういうスイング出来るか、大事にしていきたい。不安のほうが大きいですけど。どう感じるにしろ、しっかり自分で乗り越えていきたい」と、よどみなく言い切った。「ありのままでいたいなと思う。今まで通りにやりたい」と、決して背伸びはせず、もちろん弱気になることもなく、自然体で臨むことを強調した。

 取材が終わった清宮は、ラウンジに移動した。約1時間の待機のはずが、3時間待つはめに…。

 今回、不具合が見つかった機体はボーイング787-9型機で215席仕様。全日空がシアトルやパリ、シドニー行きの便で使用しているもの。16年から米アリゾナで春季キャンプを行う日本ハムは毎年、通常航路では発着していない成田空港からフェニックス・スカイハーバー国際空港の直行便を全日空機で利用してきた。3年目で初めてのトラブル。ANA(NH)1986(行くハム)便と名付けられたチャーター便が思わぬ足止めを食らった。

 2時間ほど遅れたものの、もともと現地到着は午後になり、練習は翌日からの予定だった。練習メニューには何の影響もない。右手親指の回復も順調で、この日も「今日もバッティングしましたし、手に関しては全然問題ないです。キャンプでしっかり状態を戻して、試合に合わせたい」と話していた。プロの第1歩でも、しっかり“ドラマ”を呼び込んだ。これもスターの真骨頂といえる。【木下大輔】