「清宮は何が変わったのか」。昨年、早実の清宮担当だった私は、原稿のテーマを“変化”に絞って、日本ハム清宮の姿を追った。「あっ、お久しぶりです」。球場入り前、清宮はペコリと頭を下げながら、笑った。19日も張本勲氏を筆頭に、レジェンドが集結。あいさつ回りや気遣いで大変だろうが、無邪気な笑みは高校時代と全く同じだった。

 短い距離での打撃練習では、強度を上げたスイングで右手親指痛の回復をアピールした。復調段階だが、ボールを芯で捉える“当て感”の良さは、変わらなかった。この日のKIAとの練習試合ではベンチ待機。序盤は攻撃中はベンチ右隅で立ったが、中盤以降は攻守ともに栗山監督の前の左前列に座った。

 試合開始と同時に、日本ハムベンチから声が響き渡った。「粘っていきましょう」「2アウトから~」。清宮の声だった。主将を務めた早実でも人一倍声を出し、U18日本代表ではチームメートに波及効果を与えた。「元々、声は出すタイプなので」と言ったが、高卒1年目でも自らのスタイルは不変だった。

 取材では張本氏の印象を聞かれ、「『喝、あっぱれ』というイメージ。いるだけで存在感が違います」と答え、「『あっぱれ』をもらいたいか」との質問には「頑張ります」と笑顔で話した。昨年から、清宮の言葉力には驚かされるばかりだが、プロに入っても切り返しは絶妙だった。

 変化を探したが、清宮は清宮だった。担当の岩舘スカウトに聞いた。「大人の中に入っても、自分らしさを出していると思います」と話した。ふと、昨秋のドラフト直後の取材メモを見返した。「ぶれることなく、自分の信じる道を1歩1歩進んでいければ」。この日、清宮に感じたのは松井秀喜氏も大事にした「不動心」だった。【久保賢吾】