楽天ファンのため息が球場中にこだました。満員となる2万6622人が駆けつけたホーム開幕戦。1月4日に死去した星野仙一氏(享年70)をしのび、チーム全員が永久欠番となった同氏の背番号「77」を着用した試合。多くのファンも「77」を身につけ、声援を送ったが、弔いの1勝とはならなかった。梨田監督も試合後、表情は曇りがちだった。「星野さんに岸という力を入れていただいたのに」と言葉を詰まらせた。

 西武からFA移籍2年目の岸は「77をつける。そんな重み経験したことがない」とこの試合に臨んだ。星野氏からは、FA交渉の際に「東北の星になってほしい」と声を掛けられた。気合を内に秘め、8回3安打無失点。18日の広島とのオープン戦から15イニング無失点と調子が良かっただけに「チームが勝つこと。本当にそこだけ」と言った。「最後にいい報告が出来るようにしたい」と思いを口にした。

 マウンドの後方には、石灰で「77」が貼付され、試合前には追悼セレモニーが行われ、三木谷会長兼オーナー、梨田監督、日本ハム栗山監督がマウンド上に代表献花を行った。黙とうも行われ、厳かな中、始まったこの一戦。何とか1勝がほしかった。【栗田尚樹】