15年ぶりに西武で「H」ランプをともした。1-2の4回1死一、二塁。松井はロッテ涌井の内寄り142キロ直球を捉えた。くるりと軸回転し、ライナーで右前に運ぶ同点打。今季初安打が、この回の勝ち越しにつながった。西武でのスタメンは03年10月5日ロッテ戦以来。「スタメンで起用していただいたので、何とか貢献したかった」と起用に応えた。

 昨季限りで楽天を退団。42歳の秋に引退も覚悟したが、古巣が声をかけてくれた。「もう1度、小さい花でもいいので咲かせたい」と、キャンプから若手に負けじと鍛錬を重ねてきた。オープン戦もフル同行。バス移動が続くと体がきしむ。「体は正直やね。でも、全力であらがおうとしている」と笑った。同い年が奮い立たせてくれた。開幕前に巨人に復帰した上原の姿を追った。開幕第2戦でホールド(H)を挙げると「本当に刺激になる。僕も早く“H”をつけられるように。でも、あいつ、ハイタッチ、激しすぎるんちゃう」と、うれしそうに言った。

 連敗を2で止めた。辻監督は「見事に打ってくれた」と目尻を下げた。松井は「連敗した後が大事。勝てたことが一番」とうなずいた。ただ勝利のために、打ち続ける。【古川真弥】