「大阪桐蔭OB」が、投打で存在感を示した。立大は、リーグ戦初出場で4番に起用された三井健右外野手(2年)が決勝打。先発田中誠也投手(3年=ともに大阪桐蔭)も7回1/3を1失点と好投し、早大に先勝した。慶大は高橋亮吾投手(3年=慶応湘南藤沢)が8回無失点、11奪三振の好投で東大に完勝した。

 同点の8回1死三塁、立大・三井は溝口監督から「きれいなのはいらないから、食らいついていけ」と声を掛けられ、打席に向かった。2球で追い込まれた後の3球目、「三振したボールだったので狙っていた」直球を執念でバットに当てた。「何が何でもランナーをかえそうと思った」。リーグ戦初安打となる右前適時打で試合を決めた。

 大阪桐蔭では4番を任され、16年春のセンバツに出場した。高校通算10発ながら、「振って、飛ばすのが持ち味」の強打の外野手だったが、昨年は大学野球のレベルの高さを痛感。主に2軍でプレーし、リーグ戦はスタンドで応援した。それでも、地道にバットを振り込み、ミート力が向上。今春、長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)も座った立大の4番を奪った。

 運命なのか、この日の東京6大学リーグは「大阪桐蔭祭り」だった。第1試合は後輩の慶大・福井が初打席で適時打デビュー。第2試合は早大で徳山、岩本がバッテリーを組んだ。「自分は去年、出られなかったのでうらやましいです」と笑ったが、先輩の田中誠とともに勝利に貢献した。

 今春のセンバツは、田中誠らと野球部の寮でテレビ観戦した。「強いと言われた代で優勝。さすがだなと思った」と刺激を受けた。大阪桐蔭時代に学び、今でも大事にするのは「何が何でも1点を取りにいく姿勢」。ボールをたたきつけ、泥くさくもぎ取った適時打で体現した。【久保賢吾】