先輩への思いを胸に明大が春初陣を飾った。エース右腕の森下暢仁投手(3年=大分商)が6回2失点と奮闘。救援した1年生2人は無失点でつなぎ、東大に9-2で快勝した。試合前には、1月に70歳で亡くなったOB星野仙一氏の追悼セレモニーが行われ、黙とうをささげた。立大は法大に3-2で先勝した。

 左腕に喪章をつけて臨んだ明大・森下暢にエースの自覚が芽生えた。今季から明大のエースナンバー「11」を背負い、初の開幕投手に抜てきされた。開幕ゲームを勝利に導いたが、表情を引き締めた。「星野さんは偉大。エースとしても大先輩。気持ちの強さを見習って、もっと気迫とかを出してやりたい」。試合前に大型ビジョンで流れた在りし日の星野氏の映像が、少なからず意識を変えた。

 1回表、辻居に先頭打者本塁打を浴び先制された。「セレモニーの直後だったし『ちょっとしまったな』と思った」。次打者から3者連続三振を奪い6回4安打7三振2失点。大役を果たしたが「もっと打撃にリズムを与える投球をしないといけない」と言った。昨夏日本代表に初選出されたが疲労が抜けず、秋の登板は1試合のみだった。冬にトレーニングを積んだ成果で、最速を1キロ更新する151キロを出したが目指すところはもっと上にある。

 森下暢の後は、将来のエース候補と期待される右腕・竹田祐投手(履正社)と左腕・磯村崚平投手(ともに1年=中京大中京)が、ともに1回を完璧に抑えた。善波達也監督(55)は「竹田、磯村は持ち味を出してくれた。森下は悪くなかったが、次の登板でもっとしっかりしたボールを投げてほしい。星野さんの遺志をついで、この後もしっかり明治の野球をしていきたい」と日本一に輝いた16年秋以来のVを見据えた。

 星野氏は明大で23勝を挙げ、2年秋の立大2回戦でノーヒットノーランを達成するなど活躍。エース兼主将の4年時は田淵幸一、山本浩二、富田勝(故人)の「法政三羽がらす」らと争い、優勝できずに学生生活を終えた。森下は「全部勝つ。(背番号)11の自覚を持ち、投げる試合は全部勝つことを意識したい」と甘いマスクを引き締めた。闘将の魂を受け継ぐ18年のシーズンが始まった。【和田美保】