中日松坂大輔投手(37)が、06年西武時代以来、12年ぶりに日本で勝利をつかんだ。恩師である横浜(神奈川)前監督の渡辺元智氏(73)が、松坂の思い出を語った。

 現在は、恩師をもってして「大スターの松坂」といわしめるが、高校時代は監督の目を盗んで悪さをする「やんちゃ坊主」だった。当時、松坂らを恵比寿にあるジムに通わせていた。同行できないと、決まってジムから電話がかかってきた。「どこかへ遊びに行っちゃって『今日、来ていないよ』って言われて。先輩にもイタズラしたりしてね。目標は高く持っていたけど、意外とやんちゃだった」と当時を振り返り笑った。

 大スターになっても監督と選手の関係は変わらなかった。3年前に渡辺氏が検査入院した際、偶然同じ病院にいた松坂が部屋を訪ねてきた。「ボソボソと話しながら直立不動でドアのところに立っていた。今も私の前では口が重くて冗談が通じない(笑い)。(捕手の)小山にしてもそうだが、彼らは礼儀が本当にきっちりしている」と変わらぬ態度を誇りに思う。

 中日入りが決まった際、電話で報告を受けた。当初は現役にこだわる姿に一抹の不安を感じていたが、思いは変わった。「いちずに野球を目指し、ボロボロになってもやる。大スターの松坂が、これだけ頑張ってることはまた違う感動を与えるんじゃないかと、今は思います」。大声援に押され、日本球界で12年ぶりの白星を挙げた“やんちゃ坊主”。恩師にとってもいつまでも宝物だ。【和田美保】