ドラフト1位候補で最速151キロ右腕の東洋大・上茶谷(かみちゃたに)大河投手(4年=京都学園)が、駒大戦に先発し東都大学リーグ史上最多の20三振を奪った。楽天岸を参考にしたチェンジアップを本格的に解禁し、8者連続を含む8回まで毎回三振を奪った。9回に3連打を浴びて8回0/3を5安打2四死球3失点で降板したが、チームは延長10回サヨナラ勝ち。勝ち点3で首位を独走する。
上茶谷が金字塔を打ち立てた。8回にその時はきた。先頭の8番若林からスライダーで19三振目を奪うと、場内から拍手が起こった。「あ、超したんだなと思った」。92年の日大・門奈哲寛、02年の日大・堤内健が作った最多18奪三振の記録を更新。続く砂川に149キロ直球を振らせて20三振をもぎ取った。
「上茶谷劇場」は初回3者連続三振で開演した。振り逃げを含み2回7奪三振。3回先頭まで8者連続三振を奪った。リーグ戦初先発は中大との開幕戦で16三振完封。6度目の先発は中2日で「正直、めちゃ疲れていたけど脱力していたのが良かったのかも」。この日の直球は最速150キロ。4種の変化球で、駒大打線を翻弄(ほんろう)した。
新たな武器は5つの空振り三振を奪ったチェンジアップだ。2日の日本ハム清宮のデビュー戦で投げる楽天岸を見て「チェンジアップがエグいと思った」。もともと自信のあった球が、最近はうまく操れなかった。岸の動画サイトを繰り返し見て、低めに沈めるシーンを描いた。「頭でいいイメージができた。今日は全球種で三振が取れて良かった」と進化を口にした。
上茶谷は2年冬に右手中指の血行障害で手術を経験した。元西武の玉井信博コーチ(68)は「投げるのが好きで体幹トレーニングをよくする子。甲斐野、梅津の中でも一番負けたくない気持ちを持っているはず」と相乗効果を語る。9回に3連打を浴び甲斐野にマウンドを譲ったが、チームはサヨナラ勝ち。「とにかく勝てて良かった」。大記録にも上茶谷は終始恐縮しきりだった。【和田美保】
◆上茶谷大河(かみちゃたに・たいが)1996年(平8)8月31日、京都府生まれ。小学1年から野球を始め、衣笠中では京都レッドベアーボーイズに所属。京都学園では2年春から「背番号1」。東洋大では2年秋に1部で初登板。通算4勝0敗。憧れの投手はカブスのダルビッシュ有。好きな食べ物は梅干し。181センチ、85キロ。右投げ右打ち。