ロッテ涌井が珍しく闘志をむき出しにした。味方が1点勝ち越した直後の6回2死一、二塁。向かうはこの日、2安打されていたソフトバンク甲斐。ボール、ファウル、空振りからの4球目だ。外角高め直球で空を切らせると激しく両手をたたいた。「チームが3連敗していた。しっかりカード頭を取りたかった」。ガッツポーズに表れた。

 ここまで今季の3勝はいずれもビジター。本拠地ZOZOマリンは4戦3敗で「勝てないんじゃないかと思いました」。前回の敗戦がよぎった。3日の対戦は7回に4失点して形勢逆転を許した。「今日は後半、やられないように」。ストレートを軸に力で押した。尻上がりにギアを上げた。井口監督は「エースですからね」。ひと言に信頼を込めた。

 花を添えたかった。主催試合で場内アナウンスを務める谷保恵美さんが、この日で1軍公式戦の担当1700試合に到達。「そういう記事を見たんで。いつもお世話になってる。そういう時に勝てたらいいな」。連敗からチームを救い、裏方さんに感謝をし、強敵ソフトバンクから5試合目で今季初勝利をもぎ取った。男・涌井の背中は広く、頼もしかった。【鎌田良美】