最高の形で連敗を止めた。西武多和田真三郎投手(25)がオリックス打線を6安打無失点に抑え、12球団単独トップとなる7勝目。今季初の完封に打線も応え、2本塁打を含む9安打で7点を奪った。チームの連敗は2でストップ。エース菊池が離脱し、打線も元気がない試合が続いていた。3年目右腕が、再びチームに勢いを与える勝利を挙げた。

 淡々と話すのが、多和田らしかった。9回1死から、この試合初めてオリックス打線に連打を食らった。1死一、三塁となった場面を「完封を目指したんですが、最後はダメだと思いました」と正直に振り返った。だが、踏ん張った。ロメロを一邪飛。続くT-岡田を二ゴロに仕留め、チームの今季完封一番乗りを果たした。

 開幕から6戦6勝。3年目で覚醒したように、勝ち続けた。だが、前回12日のロッテ戦は5回持たず7失点KO。初めて負けた。生命線の直球に勢いがなくなっていた。多和田自身は「自分では、そんな感じはない」が、周りには開幕から投げ続ける疲れが見えていた。「体は元気なんですけど。見えないところで疲れが出ているのかな」。連敗だけは避けたい。1週間の調整を変えた。

 これまでは前日と3日前の2回だったブルペン投球を、3日前は立ち投げで軽めに投げ、前日だけ捕手に座ってもらった。量よりも質を優先した。もう1つの武器であるスライダーにも手を加えた。「キレがなくなっていた。スピードも去年より遅い」と不満だった。握りを浅くし、腕を速く振ることを意識。これまでの110キロ台が、120キロ台後半で小気味よく曲がった。9回のロメロの邪飛も、124キロで打ち取ったものだった。

 辻監督は「全部良かった。風が強いから、(打球が)上がったら怖い。その中で、低めの真っすぐと、スライダーが非常に良かった。キレがあった」とたたえた。早くも7勝で1年目の自己最多に並んだが、多和田は「7勝ということより、まだまだ長いので。負けた時は、次の1勝と思ってやってます」。菊池に代わる柱の働きにも「自分のことで精いっぱいです」。目の前の一戦に全力。その積み重ねが、結果を呼んでいる。【古川真弥】

 ▼多和田が今季初完封で早くも7勝目を挙げた。西武はこの日が38試合目。開幕から38試合以下で7勝したのは14年西(オリックス=38試合目)以来で、90年以降は多和田を含め8人しかいない。西武では、西鉄時代の68年に25試合目で7勝、38試合時に9勝した池永以来、50年ぶり。