いざ決戦-。全日本大学野球選手権が11日から神宮と東京ドームで開幕し、11日に東北勢3チームが初戦を迎える。

 9連覇を達成した富士大(岩手・北東北)はエース右腕の村上英(4年=宇都宮南)が4勝をマーク。東北福祉大(仙台6大学)は1年生右腕の椋木蓮(高川学園)が抑えを務める。東日本国際大(福島・南東北)の2年生4番斎田海斗外野手(仙台育英)が今春は打点と本塁打の2冠王となった。3チームの主力選手を特集する。

 代役エースとなった村上がチームの危機を救った。エース左腕の鈴木翔天(そら、向上=4年)が開幕前に左肘痛を発症し離脱する中、リーグ戦5週連続で1回戦の先発を任されて4勝(1敗)をマークした。八戸学院大(青森)との優勝決定戦でも先発し8回1失点完投で9連覇を達成した。「先輩がつないでくれた連覇は途切れさせられなかった。やっと胴上げ投手になれた」と汗をぬぐった。

 村上にとって、全国の舞台はリベンジの場所でもある。昨年は立大(東京6大学)との2回戦に登板するも、チームの悪い流れを止められずに失点してしまった。秋の明治神宮大会では東洋大(東都大)にまさかのコールド負け。「全国のレベルは高かった。ここからが始まりだと思ってやってきた」。最速148キロの直球だけでなく、変化球も磨いた。この春猛威を振るったフォーク、ツーシームも自在に操り、より安定感が増した。

 鈴木を加えた“四天王”で初の日本一をつかみ取る。今春は最速147キロ左腕の佐々木健(木造)と先発と抑え兼任の右腕、上島迅翔(ともに4年=修徳)とともに3枚看板を形成した。村上は胸を張る。「全国で翔天を投げさせたかった。4年生が4人そろえば心強い。日本一になるには翔天が必要」。治療に専念した鈴木は回復しており、第4週からベンチ入り。登板こそなかったものの、全国での登板には期待がかかる。神宮のマウンドに“四天王”が仁王立ちしてみせる。【高橋洋平】

 ◆村上英(むらかみ・ひで)1996年(平8)8月12日生まれ、栃木・真岡市出身。壬生東小2年から野球を始め、南犬飼中では軟式野球部。宇都宮南から富士大へ進学し2年春からベンチ入り。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹。