16年新人王の復活弾で快勝だ! 阪神高山俊外野手(25)が、昇格即1号3ランで12安打10得点の大勝を導いた。不振で2軍に降格していたが、12日の「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦(札幌ドーム)に1軍招集されて2番中堅で出場。2点リードの4回、斎藤佑樹投手(30)から試合を決定づける弾丸ライナーを右中間に運んだ。チームは再び2位に浮上。北の大地から逆襲開始だ。

 冷静に振り抜いた。ゆらりとバットを揺らした構えから、高山が力強くスイング。白球は右翼スタンドへ一直線。今季1号は“打ち直し3ラン”だ。直前のリクエスト失敗で静まった場内を一気に跳び上がらせた。

 「昇格してすぐにチャンスをもらったので、期待に応えたいという思いがありました。最高の結果になった。得点圏だったので、ここでやってやるという気持ちで。(リクエストが)ファウルでよかったなと思います」

 2点リードの4回1死二、三塁。斎藤の6球目を捉えると、打球は鋭いライナーで右翼線に。フェアかファウルか-。見つめた先は、中腰で判定する一塁塁審。両手を上げてファウルのジェスチャーを見ると、ベンチから金本監督がリクエストを要求。大型ビジョンに何度も検証映像が流される間も、高山はバットの軌道を確認して集中を切らさなかった。7球目。外角137キロ直球を真芯ではじき飛ばした。「ホントに芯に当たってくれてホームランになってよかったです」。

 開幕中堅スタメンを勝ち取ったが、打率1割8分にまで落ち込み、2軍降格。原因の1つが、対応力が高いがゆえ、打席でボールを追いかけてしまう癖だった。そんな時、春季キャンプ中から取り入れていた“ノーステップ打法”を思い出した。片岡ヘッド兼打撃コーチは「下半身始動で打つというように、練習している。何か1つ軸になるようなものを持つと、安定したスイングにつながるから」と説明。本来の体重移動を取り戻し2軍戦14試合で3割6分4厘と調子の波を安定させての昇格だった。

 金本監督は「一番いいところで打ってくれましたね。前向きな姿勢というかね。声もよく出ていた。そういう姿勢を評価したい。もちろん、こっちもこれから期待しますよ」と絶賛。高山も「ずっと今シーズン、応えられてなかったんで。今日そういう形で、まず1歩踏み出したのでよかった」と充実の表情だ。

 ヤクルトと並んで2位に浮上。さらに今季雨天中止翌試合は8戦8勝と不敗伝説を継続した。「今日から、また明日から、1軍の舞台で活躍することが恩返し」。高山の巻き返しが虎をジェット気流に乗せる。【真柴健】