杜(もり)の都で中日平田良介外野手(30)のバットがこだまし続けた。2回、楽天ドラフト1位ルーキー近藤の142キロの直球に力負けせず右前へ。そこから快音が止まらない。4回は、144キロを左翼へ引っ張り同点適時二塁打。6回には力の落ちた134キロ直球を右翼への二塁打として、新人右腕をマウンドから引きずり降ろした。7回には池田のスライダーを右翼へきれいに流した。

 今季2度目の1試合4安打。交流戦での打率は4割7厘に急上昇。自身が12年にマークした交流戦自己記録に並んだ。「いい感じで打てている。右へ『引っ張れている』。数字が出ているのでうれしい」。4安打中、右方向への3安打に手応え。それを「平田語」で解説した。

 昨年は交流戦途中に右膝を傷め、長期離脱した。昨オフから減量して肉体改造。その成果が出ている。この日は2回に盗塁を失敗したが、すでに今季7盗塁。15年の年間11盗塁の自己最多更新も視野に入る。「ボクはサインが出ないと走れない。でもサインが出されることが多い」。首脳陣から盗塁を期待されることも、復調を裏付けている。

 チームの連敗もストップ。「まだシーズン前半。1試合1試合、全力でプレーしていきたい」。この日、最下位中日がセ・リーグ唯一の白星を挙げた。2位から6位まで1差に5チーム。平田のバットが反攻へのカギになりそうだ。【伊東大介】