日本ハム横尾俊建(としたけ)内野手(25)が、決勝の「おにぎり弾」を握った。1-1の8回1死走者なしで、ヤクルト中尾からバックスクリーン左へ6号ソロを放った。本塁打後、恒例のおにぎりを握るパフォーマンスも披露。好きな具は「シャケ」の3年目スラッガーが、値千金の1発でチームを4連勝へと導いた。

 わんぱくなスラッガーが、極上の1発を握った。1-1の8回。体を左右に揺らしながら、横尾は狙っていた。「何とか自分にも、チャンスがあれば打てる」。ヤクルト中尾の初球。身長177センチ、体重90キロの体で、直球143キロに目いっぱい食らいついた。「本当に完璧に捉えられて、いってくれるかなと思った」。均衡を破る決勝の6号ソロ。9日DeNA戦以来の1発に、本塁打後の恒例パフォーマンス「おにぎり」を握り、さらに観衆を盛り上げた。

 ルーキーイヤーに授かった愛称が「おにぎり君」。ぽっちゃり体形と屈託のない笑顔が相まって「おにぎり」を連想させることから、白井元コーチに名付けられた。好きな具はサケも、1年目はツナマヨと公言しており「味覚が大人になったので…」とニンマリ。3年目のプロ最多7本塁打に、あと1本に迫り「これからも、もっともっと握られたら」と宣言した。

 覚悟は決まっていた。先月末に打撃不振で2軍調整を告げられていたが、石井一の故障により出場選手登録を抹消されず1軍に生き残った。公私で仲の良い後輩のアクシデントを残念がったが「1度は落ちたものだと思ってやります。僕には何も失うものはない」。開き直り、心の余裕が出来た。栗山監督は「一振りで試合の流れを変えられる。ああいうところで発揮できたのが素晴らしい」と魅力をたたえた。

 チームは4連勝。交流戦首位相手にカード勝ち越しを決めた。横尾は「浮き沈みしないように、自分のやることを明確にしたい」と、貪欲に「おにぎり」を握っていく。【田中彩友美】