バットを投げ出すようにして、前でさばいた。腕をいっぱいに伸ばした阪神陽川の打球は、一気に左翼席上段へ。あまりに大きな放物線に、ヤクルトの左翼バレンティンは、1歩も動けなかった。1点リードの3回2死一、二塁。カウント1-2からヤクルト山田大のツーシームをとらえた。豪快な3号3ランだ。

 「追い込まれてからコンパクトにスイングすることを意識して低めのボールにうまく反応出来た。あっさり終わらないこのような打席を増やしていきたい」

 8試合連続のスタメン出場。この間計34打数14安打、打率4割1分2厘で12打点と絶好調だ。前日28日のDeNA戦(横浜)は無安打に終わったが、勢いは止まっていなかった。この日1打席目に死球を受けると、投手に視線を送る気迫も。加えて追い込まれてもファウルで粘るしぶとさが加わり、好調をキープだ。

 気迫に押されるように打線もつながった。2回に俊介が1号逆転2ラン。4回には原口も1号ソロを放ち、5月8日巨人戦(東京ドーム)以来、今季2度目の1試合3発。試合後に陽川は「明日もあるので切り替えて頑張ります」と締めた。売り出し中の若虎が、がむしゃらに走り続ける。【池本泰尚】