ソフトバンク柳田悠岐外野手(29)が超特大の20号2ランを放ち、2年連続20号に到達した。今季雨天中止翌日の試合では、5試合で打率5割2分4厘、4本塁打、7打点と驚異的な成績をマーク。柳田に引っ張られるように打線は15安打で8得点を奪い、オリックスに快勝。負ければ5位転落の危機だったが、この日敗れたロッテを抜いて、再び3位となった。

 もう少しで京セラドーム大阪5階席の上にある看板を直撃するところだった。柳田の打球は、右翼5階席の上段へと消えていった。西の140キロ直球をフルスイング。柳田は「完璧でした」と振り戻したバットを持ったまま、打球を見た。満員3万1465人の場内はざわつき、右翼手ロメロはただ振り向くことしかできなかった。

 1点先制した直後の140メートルの特大20号2ランは、チームの勝利を大きく引き寄せた。「いや、まぐれ。自分のいいスイング。いい打球が打てました。まず20本。いい通過点になった」。球宴前に目標としていた20本をクリア。34・8発ペースと、トリプルスリーを達成した15年の自己最多34発を上回る。打率3割5分3厘はリーグトップ。本塁打は2位、打点は3位(58打点)と3冠王も狙える位置でシーズンを折り返そうとしている。

 今季雨天中止翌日の試合は5試合で21打数11安打、打率5割2分4厘、4本塁打、7打点。中止になった日を休養にあて、心身リフレッシュし、次戦に臨めている。

 青森→仙台→神戸→大阪とロードに出ている間に西日本地区は過去に例を見ない豪雨に見舞われた。九州、そして故郷広島にも大きな被害が出た。「実家は大丈夫だったんですが、友達がけっこう困っている。連絡を取り合っているが、家の水が出なかったりしていると聞いている」と、表情を曇らせた。「自分のできることをやろうと思う」。まずは全力でフルスイングし、誰にもマネできない特大アーチを描き、野球を通じて元気を届ける。

 工藤監督も「三塁ベンチからは(打球が)よく見えましたよ。すばらしい当たり。あそこでよく打ってくれた。(先制が)1点と3点では全然違う」と柳田の1発をほめた。首位西武とは5ゲーム差。前半戦残り2試合も勝ち、獅子のしっぽをつかんで球宴を迎えたい。【石橋隆雄】