中日荒木が放った2年ぶり1発が、ベテランらしい記録を塗り替えた。2-2と同点の6回。1死二塁の場面で笠原の代打で打席に立った。DeNAの2番手、左腕石田の初球111キロのカーブに反応。打球はレフトスタンド最前列へ吸い込まれた。16年7月8日ヤクルト戦(神宮)以来の通算34本目のアーチだった。

 「うまくバットに引っかかってくれた。フェンスに当たると思ったけど。とにかくヒットを打とうと思っていた」と振り返った。カーブを狙ったのかと聞かれると「多少はね」と、含み笑い。昨年2000安打を達成したベテランの技が運んだ一打だった。

 逆転負けを喫し、決勝弾にはならなかったが、プロ入り23年目で初の代打本塁打は、野村克也の21年目を上回る最も遅い記録となった。

 開幕メンバーから外れ、6月1日にやっと1軍に。「何でもできる状態を作って、スタンバイしている」。スタメンはもちろん、代走、代打、守備固め。40歳はどんな場面でも前を向いている。今季出場17試合。限られた出番で、また1つ金字塔を打ち立てた。【伊東大介】

 ▼40歳9カ月の荒木がプロ初の代打本塁打。15年和田(中日)が初の代打アーチを43歳2カ月で打っているが、40代で代打本塁打を初めて記録したのは史上6人目。また23年目で初の代打本塁打は、21年目で打った74年野村(南海)を抜く最も遅い1発となった。