ロッテ福浦和也内野手(42)が今季初のマルチ安打を記録し、通算2000安打へあと「18」とした。西武14回戦(メットライフドーム)に6番指名打者で、6戦ぶり今季22度目の先発出場。2回、4回と2打席連続で右前打を放った。ベテランのマルチ安打を追い風に、チームは首位西武に競り勝ち、5位から3位に浮上した。

 「たまたまだよ」と照れながら、福浦は同僚たちとハイタッチをかわした。6番指名打者で6試合ぶりに先発出場。まずは2回無死一塁。フルカウントから西武十亀の外角スライダーを一、二塁間に転がし、好機を一、三塁に拡大。先取点奪取に貢献すると、先頭で迎えた4回も右前打を放った。

 昨年9月12日のオリックス戦以来となる1試合2安打だ。「一時よりは、自分の中でリズムが良くなってきている」とうなずく。8日、9日も代打で右前打を放ち、3試合で4打席連続安打と上向きだ。「バテバテ。(帰りの)上り階段がしんどい」とメットライフドーム特有の蒸し暑さと階段の多さに苦笑いしつつも、足取りは軽い。

 何より、勝った。終盤の代打起用も多く、これまで7月に入って安打した3戦はいずれも敗戦。通算2000安打へのカウントダウンに注目されがちだが、試合後はいつも、打った打席ではなく「それよりチャンスで打ちたかった」と、打てなかった打席を振り返る。自分が打てばファンが盛り上がる。「ありがたい」と素直に感謝する。でも根底はフォア・ザ・チーム。「今日は勝ったから最高」。そう繰り返した。

 6月1安打と足踏みしていた個人記録も、残り18安打。いよいよ20本を切った。「まだまだだよ、まだまだ。しっかり準備して待つ。頑張るしかないなあ」。偉業が近づいた実感はないが、地に足を着けて刻んでいく。これまでのように。

 この日、不動の1番だった荻野の長期離脱が判明し、井口監督は打線の組み替えを敢行。「他の選手がこのチャンスをしっかり生かさないと、チームとして強くなれない」と言った。若手に先陣を切って快音を響かせたのは、42歳の大ベテランだった。【鎌田良美】