巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(44)が55歳アーチを誓った。

 14日、川崎市内で小学生46人に野球教室を開催。フリー打撃を実演し、13球中3本の柵越えを披露した。現役引退から6年。年々、1発を放つことが難しくなってきている。この日も9球目まではフェンスは越えなかった。だが10球目に「初本塁打」を運ぶと、結局ラスト4球で3発を固め打ち。「喜んでくれたら」。ゴジラパワーは健在だった。

 力ある限りは、夢を届けたい。「王さんが55歳の時にOB戦(95年阪神戦)で甲子園でホームランを打った」。現役選手として目の当たりにした。「自分も55歳までは打ちたい。あと11年か…。無理だな」と自虐的に笑うが、引退しても周囲からは希代の長距離砲としてみられることは自覚している。背番号にもちなんだ55歳は節目ともいえる。

 ホームランだけでなく、松井秀喜という存在が野球の力である。今夏は甲子園大会の開幕戦で始球式の大役も務める。「あこがれの場所。節目で呼んでもらえるのは光栄。私自身、甲子園で素晴らしい経験をした。感謝の思いを込めて投げたい。私はマウンドは似合わないけど」と投手松井には気恥ずかしさもあるが、輝きは不変だ。【広重竜太郎】