日本ハム栗山英樹監督(57)が、シーズン佳境へ向けて勝負手を打つ。8月以降の過密日程を見据え、先発ローテの整備に着手。まずは明日21日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で、杉浦稔大投手(26)を移籍後初登板初先発させる。守護神だった増井浩俊投手(34=現オリックス)を先発転向させ、大逆転でリーグを制覇した2年前のように、着々と態勢を整えていく。19日は、遠征先の大阪から、空路で北海道へ戻った。

 栗山監督は北海道へ戻る前の伊丹空港で、今後の展望を語った。混戦のパ・リーグ。先が読めないペナントレースを「コンディショニングの勝負になると思う」と、見据えた。チームは8月第2週から3週連続で6連戦。さらに9月中旬から下旬にかけて、2度の7連戦が組まれている。過密日程を戦い抜き、先頭でゴールを駆け抜けるために、先発投手陣の整備、再編にかじを切る。杉浦を明日21日ソフトバンク戦(札幌ドーム)で移籍後初先発に抜てきする理由でもある。

 シーズン途中でのローテ再編は、長いシーズンを勝ちきる方策のひとつだ。指揮官は日本一となった16年、守護神だった増井を8月から先発へ配置転換。大胆な一手が功を奏し、大逆転優勝への筋道をつけた。「選手たちの状況で打てる駒が限られちゃうこともある。いかに打てる手を持ちながらいけるか」。今季も勝負どころを前に思案を続けてきた。

 現状の先発陣は上沢とマルティネスを軸に高梨、加藤、村田に復活気配の有原がいる。ここに前半戦終盤に台頭した上原や杉浦が加われば、ローテ編成に幅が広がる。さらに、前日18日の2軍戦で5回無失点と好投した堀も、第2の布石として投入される可能性も十分。2年前と同様に、シーズン終盤で充実した先発陣を形成できる。

 杉浦はコンディション次第で、8月1日ロッテ戦(帯広)へ向かう可能性が高い。生まれ育った場所であり、1年前に入団会見を行ったリスタートの場所。栗山監督は「まずは、野球を一生懸命やるというのが地元の人たちも待っていることだと思う」。シーズン終盤の勝負どころへ向け、チーム力は着実に高まっている。【木下大輔】