ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が、土壇場で逆転アーチを描いた。0-1の9回無死一塁、中日鈴木博の初球の高め直球をフルスイングし、左翼席へ放り込んだ。28号逆転2ランで、セ・リーグの本塁打王争いでトップだったチームメートの山田哲に並んだ。「(鈴木博は)速い直球のある投手。思い切ってスイングしようと思っていた。高めにきたのでいいスイングができた。感触はすごくよかった」と納得の表情で振り返った。

 名古屋遠征に同行してくれた家族の声援を力に変えた。10日夜には自ら予約した居酒屋で、一家だんらんのひと時を過ごした。「この3連戦はいい活躍ができていなかったから、取り戻すには本塁打しかないと思っていた」。最後まで集中力を切らさず、家族の前で美しい放物線を描いて見せた。

 山田哲との本塁打キング争いは激しさを増してきた。「山田と数字を競っていない」と無関心を強調し、それよりもチームが終盤に逆転しての2連勝に重きを置いた。「ネバーギブアップの精神を持っていれば、チームにいい影響をもたらすと思う。チームにいい結果をもたらせるように続けていきたい」と、まだまだ勝利を欲した。