<日本ハム2-6ソフトバンク>◇23日◇東京ドーム

東大出身者として51年ぶりに先発した日本ハム宮台は4回2/3、4安打2失点で初登板白星を逃した。

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東大卒の宮台がデビューした。“頭脳派投球”を期待してしまうが、投球内容はまったく違った。球速は130キロ台後半だが、質のいい直球が武器。将来性のある高卒投手といった感じ。正直、まだ1軍で勝てるような実力はないが、話題性もあるし、この先楽しみな投手だった。

投球を振り返れば、長所も短所も極めてオーソドックスな左腕の特徴が出ていた。一番の課題は変化球の制球力。91球を投げてスライダーは10球。うち、ストライクゾーンに決まったのは3球だけ。14球投げたチェンジアップも、左打者に投げるのは苦手そう。いいところに決まったのは右打者に対してだけだった。

左投手は抜いて投げるチェンジアップやシンカーなどの落ちる系の変化球が左打者に対して死球になるのを嫌がり、投げられないタイプがいる。宮台は投げられるが、苦手にしている感じはあった。

将来性を感じさせたのは、直球の質がいいところ。136キロ直球で上林、甲斐、グラシアルから、それぞれ1度ずつ空振りを奪った。これだけ変化球の制球が悪ければ、打者は「直球1本」で狙ってくる。そんな状況で空振りを奪えるのは、体を開かず投げられるフォームと、球速以上にスピードを感じさせる直球があるから。直球で10個のアウトを奪ったが、詰まらせて打ち取った打球が多かった。

ただクイックは1秒3前後で遅め。けん制もそれほどうまくない。左投手なのに右足をクロスして上げないと投げられないクイックのフォームも、走者はスタートが切りやすくなる。今試合では、塁に出たソフトバンクの選手のほとんどが走る気がなかったから助かっただけ。東大卒だが、プロではまだまだ勉強しなければいけない課題が多い。【小島信行】