勝利が決まると日本ハム清宮幸太郎(19)は幸せいっぱいの笑顔でベンチを飛び出した。本塁打こそなかったが、4打数3安打。4得点中、3得点に絡む堂々の活躍ぶりでチームは勝った。「それが一番うれしいです。負けられない試合が続いているので、しっかり得点できて貢献できたのが、うれしいです」。打てども勝てない日が続いていた。試合後の表情はモヤモヤが晴れたようにスッキリしていた。

連日のレジェンド超えだ。前日25日に続いて猛打賞。高卒新人の2試合連続猛打賞は88年中日立浪以来30年ぶり2人目。あの清原も、憧れのゴジラ松井もなし得なかった記録だ。「気にはしてないですけど、2試合連続で打てたことはうれしいです」。21日の再昇格後、6戦で22打数10安打、打率4割5分5厘。夏バテ状態の打線の中で、完全に起爆剤となっている。

積極的で、当たり前のことをやり尽くす姿勢がチームの停滞感を吹き飛ばしている。4回は右中間への打球に迷いなく二塁へ。6回は凡フライにも全力疾走。三塁手のウィーラーが落球し、二塁まで進んだ。凡事徹底ができているか、と問われた栗山監督も「良いこと言うねぇ。そう書いておいて」と笑顔だ。

2回と4回は初球を仕留めるなど、見逃しストライクが4打席で1球だけ。清宮は「自分の形で振れているのかなと思う」と、自己分析した。5月に1軍レベルを体感し、6月以降は2軍で経験を積んだ。打席を重ねる中で、トップの位置を早く決めてボールをとらえにいく「自分の形」を確立。自分との戦いから脱却し、投手との戦いに没頭しているから「(2本の二塁打は)うまく反応できた」。チームは7カードぶりに勝ち越した。清宮の存在感は日に日に増している。【木下大輔】

▼清宮が前日に続いて3安打の猛打賞。ドラフト制後(66年以降)、高卒新人の2試合連続猛打賞は、88年立浪(中日)が6月2日巨人戦で3安打、同4日阪神戦で3安打して以来、30年ぶり2人目。パ・リーグの高卒新人ではドラフト制以前を含めて初の連続猛打賞となり、日本ハムの高卒新人としても初の快挙だ。1軍復帰した21日からの清宮は22打数10安打、打率4割5分5厘となり、10安打の内訳は本塁打3本、三塁打1本、二塁打2本、単打4本。塁打数÷打数で計算する長打率は10割4分5厘と、復帰後の長打率が10割を超えている。