広島の丸佳浩外野手(29)が、自身初の30号に到達した。中日戦の5回、右越えに2戦連発となるソロ本塁打。シーズン30発は球団の日本人選手では05年新井貴浩、前田智徳以来13年ぶりとなった。試合は1-11と大敗。優勝マジックは22で足踏みも、不動の3番がマツダスタジアムのファンに見せ場を提供した。

5回、それまで静かだった広島の本拠地に、ようやく歓声が巻き起こった。響かせたのは丸だ。1死から藤嶋の甘く入ってきた128キロスプリットを振り抜いた。高く舞い上がった打球は、右翼席前列にドスンと突き刺さった。

「手応えは良かった。自分のスイングでしっかりとらえることができた。点差は開いていたけど、しっかり自分のやることをやろうと思った」

敗戦にもちろん笑顔はなし。区切りの30号にも「特に何も思っていない」と関心を寄せなかった。それでも球団の日本人13年ぶりの大台だ。05年の新井貴浩(43本)と前田智徳(32本)以来。この日唯一の得点で完封負けを阻止した。

先発高橋昂の乱調があり、その時点で0-10と大量ビハインド。それでも打席で精神を研ぎ澄ませた。そして初球をアーチに結びつけた。「集中力が切れてしまいそうな時もあるけど、目的を持ってやっていけたらいい。今日に関してはしっかりと入れた」。どんな場面でも役割をまっとう。他の3打席も安打に2四球と全打席出塁した。

昨年の5割5厘が最高だった長打率は今季6割7分7厘と大幅アップでリーグトップ。同じくトップの出塁率(4割8分8厘)と合わせた指標OPSは、超一流と言われる10割を軽く超える。OPS10割は過去10年のセ・リーグでDeNA筒香、ヤクルト山田哲ら7人(のべ9人)しかいない。首位独走するチームへの貢献度は、数字にもしっかりと示されている。

「何回も言ってるように、自分はホームランバッターじゃない。しっかりいいスイングをした結果、ホームランになればいい」。30号もあくまで自分の打撃を貫いた結果。3カードぶりの負け越しとなったが、こんな日もある。切り替えて、週明けからのビジター6連戦に臨む。【大池和幸】

▼丸の年間30本塁打は自身初。広島では14年エルドレッドの37本以来で、日本人に限ると05年新井貴浩43本、前田智徳32本以来、13年ぶり。