阪神が33日ぶりに帰ってきた甲子園で、ため息の0-1負けを喫した。真夏の長期ロード明け初戦、ロサリオの2軍落ちで久々の和製オーダーを組んだが、ヤクルト先発小川らの前に0行進。10度の完封負けは巨人と並んでリーグ最多の不名誉だ。CSホーム開催へ、2位ヤクルトに迫りたかったがゲーム差は3・5に拡大。有利なはずの本拠地甲子園での借金も10まで増え、乗れない日々が続く。

俊介が表情をゆがめ、力なく打ち上げたボールに視線を向ける。最後はため息だけが甲子園に充満した。1点を追う9回。ヤクルト守護神石山を1死一、三塁まで追い詰めた。ここで6番大山が内角高め148キロに差し込まれ、遊飛に倒れたのが痛恨だった。金本監督は「外野フライを1本打ってほしかったけどな」と残念顔。7番俊介も一飛に仕留められ、33日ぶりの甲子園戦は0-1の「スミ1完封負け」に終わった。

「どうしても勝ちたかったけどね、本当…」。指揮官は試合後、厳しい表情で本音をこぼした。夏の高校野球が幕を閉じ、久々に本拠地に戻ってきた。ましてや、長期ロード最終戦となった26日敵地巨人戦では5点差を8回にひっくり返す劇的勝利を決めていた。勢いづくには最高のタイミングだったはずの一戦。結果はあまりにも寂しかった。

前日27日にロサリオを2軍降格させて迎えたヤクルト戦。手は打った。この日の先発投手は右腕小川。試合前の時点で右打者相手の被打率は2割8分6厘、左打者には2割4分8厘というデータもあり、5番以降の4人は右打者をスタメンに並べた。一塁にはナバーロではなく1軍再昇格した陽川。三塁は鳥谷を外して大山。中堅は伊藤隼ではなく俊介。「対小川はちょっと右の方が分が良かったんでね。期待しましたけどね」と指揮官。6月30日ヤクルト戦(神宮)以来約2カ月ぶりの和製オーダーで勝負をかけたが、陽川と大山は無安打と沈黙した。

今季10度目の完封負けは巨人と並ぶリーグワースト。何より、ここ4試合で3回完封負けした事実が気がかりだ。「確かに小川は良かった」。指揮官がそう振り返った通り、この日の右腕は150キロ前後の直球、変化球のキレ、制球力ともに上々。先週末に0封された巨人菅野、メルセデスも抜群だった。とはいえ、これ以上聖地で0を並べ続けるわけにはいかない。

2位ヤクルトに迫るどころか3・5ゲーム差をつけられた。有利なはずが、今季16勝26敗1分けで借金が10まで増えた甲子園。CSホーム開催を勝ち取るためにも今日、明日の直接対決は、総力を結集して連勝したい。【佐井陽介】