今季のヤクルトは敵地での奮闘が光る。昨季は15勝56敗と苦しんだが今季は23勝31敗1分け。カード勝ち越し数も本拠地の10と1つしか違わない9と、ビジターの善戦が広島以外で唯一の貯金生活へ導いている。

躍進の鍵は「朝」にあった。朝食後、30歳以下の野手は遠征先の宿舎で約30分間の素振りと筋トレを行う。この日も山田哲や中村らがバットを振った。昨季までコーチを務めていた広島での取り組みを導入した石井琢打撃コーチは「意識付けです。ビジターだと練習量も減るし、スイングをつくるのは簡単ではないので」と説明。試合後にも実施し、振り込む量を落とさない下積みを続けていた。

朝の素振りにより、コンディションも上がった。主将の中村は「体がシャキッとする。リズムがいい」と言う。昨季までは午後の出発直前まで部屋で過ごした時間に体を起こすことで、試合序盤から力を発揮できる状況も生まれている。

そんな地道な積み重ねが、難敵メッセンジャーの2年ぶり撃破につながった。2回2死一、二塁、中村が定石通りに四球後の初球を強振して左翼席へ先制3ラン。2死一、二塁では休養から2試合ぶり復帰の青木が左前適時打を放ち、一挙4得点の速攻を決めた。

16年8月6日の勝利を最後にやられっぱなしだった天敵に土をつけ、4連勝を飾った。継続は力。クライマックスシリーズ進出まで場所不問で打ち続ける。【ヤクルト担当=浜本卓也】