オリックスが最大7点差をひっくり返して今季5度目のサヨナラ勝ちを収めた。7-8と1点を追う9回、18年目の中島宏之内野手(36)が自身初のサヨナラ3号3ランを左翼席に突き刺した。前日8月31日には自力CSの可能性が消滅し、福良淳一監督(58)が今季限りで退任する可能性も浮上。窮地に追い込まれたオリたちが意地を見せ、4位に順位を上げた。

誰からも愛されるチームのアニキが歓喜のシャワーでびしょびしょになった。9回無死二、三塁。西武ヒースの初球、低めの149キロを中島は柔らかいスイングでつかまえた。「打球が上がっていたし、ひょっとしたら入るかなと。うまいこといってくれて良かった」。歓声に包まれた打球は左翼2階席に飛び込んだ。

序盤は一方的な展開だった。4回を終わってスコアは1-8。それが5回、7回とロメロが2打席連続アーチを放つと、8回にはT-岡田の左翼ポール際への2ランも飛び出して1点差まで追い上げていた。福良監督も「すごい粘りでしたね。全員。途中から出た選手もよくやってくれた」と執念で西武に食らいついた。

指揮官も激しくタクトを振った。「ナカジが(塁に)出たら(代走を)出そうと思っていた。使い切ろうと思っていた」。9回、ベンチに残っていた野手は大城1人だけ。この日、2軍から招集した宗、西村、杉本も途中出場で得点に絡むなど、積極采配が奏功した。

前夜に自力CSの可能性が消滅した。今後は福良監督の進退を含め、チームの構想を描いていくことになる。ただ、目の前の試合は、24試合も残っている。中島はチームの思いを代弁した。「自力CSがなくなったからといっても、何が起こるか分からない。はい、終わり! っていうまで頑張っていかなあかん」。崖っぷちに立たされたオリたち。明日なき戦いが始まった。【桝井聡】