最下位に沈む竜が、いくつものトンネルを抜けた。連敗を5で止め、さらに神宮での連敗も9で止めた。

先発を託されたベテラン中日吉見が、踏ん張った。初回に2失点。3回には大引の一ゴロで、カバーに走った一塁ベース上で走者と交錯して倒れ込んだ。だが走者のセーフの判定をリクエストで覆し、後続をピシャリ。右足首捻挫を経験しているだけに、大事をとって5回6安打2失点で降板も、打線の援護にも支えられて今季5勝目を挙げた。

「諸事情で早く降板したが、もう少し長く投げたかった。(ヤクルト・ブキャナンの10勝阻止を)モチベーションにした。足は大丈夫。(自身の連敗脱出は)書かないで下さいよ」と吉見。11年5月5日の勝利以来、自身の神宮連敗も5で止めた。

この日負ければ、首位広島が引き分け以上なら、優勝の可能性は完全消滅していた。それもなんとか阻止。「(打線も)投手があてにならないから何点でも取るわ。(最後のピンチは)みんな同じことがよみがえっただろうな。それよりも(今季)最後の神宮でお客さんにあいさつできたのがうれしい」。グラウンドを去る直前、森監督は深々と頭を下げた。【伊東大介】