敗れた阪神の光は陽川の菅野撃ちだ。0-0の2回。2戦連発の先制6号ソロを左中間席に運んだ。

「先頭で追い込まれていたので、なんとか塁に出ようと打席に立ちました。(外角球がバットに)うまく引っかかってくれた」

獲物は外角135キロのカットボール。降りしきる小雨を切り裂いた。背番号55の今季甲子園初アーチに、虎党はレインコートのフードを持ち上げて喜んだ。

「本塁打になるとは思いませんでしたが、先制できて良かったです」。ベンチに戻ると金本監督とハイタッチ。その後は両手を胸にドコドコと当てる「ゴリラポーズ」でナインに迎え入れられた。巨人菅野とは初対戦でアーチを記録。「いいピッチャーというのはわかっていた。どんどん初球から意識して振った」。

前日、金本監督は好調な陽川と大山の名前を挙げ「固定させるぐらいに、ガッチリつかまないとな」と一気のレギュラー取りを期待。27歳の若虎がしっかり1発回答で応えた。9月6試合は2本塁打8打点で打率3割2分1厘。一時は4番も張った男が再ブレークの予感だ。陽川は「今日は良い結果になりましたが、また明日は気持ちを入れ替えてやっていきたい」。結果的に菅野からは奪ったのはこの1点だけ。逆転でのCS進出へ快音を響かせ続ける。【真柴健】