前日12日に連敗を6で止めた広島が再加速した。2回に松山竜平外野手(32)の12号ソロで先制し、3回には鈴木誠也外野手(24)が自己最多タイの29号2ランを放った。先発野村祐輔投手(29)は6回4安打無失点と好投し、7回からは継投でチームは6月10日以来の無失点勝利。球団初の3連覇へのマジックナンバーは1つ減って6となった。

鈴木が積極打法でDeNA飯塚を沈めた。1点リードの3回。1死一塁で3ボールからの内寄りの球をノーステップで捉えた。打球は高々と舞い上がり左翼席へ。自己最多タイの29号2ランで勝利に導いた。

対応力の高さを示した。1回2死二塁の好機では飯塚のクイックでの投球に詰まらされ、二飛に倒れた。「刺されてしまった。そこは修正できたかなと思う。でも最初のチャンスで打てなかったので情けない」。反省を次に生かし、悔しさはバットにぶつけた。

柔軟性も併せ持つ。8月中旬から「バットの出がいい感覚がある」と、大谷が所属するエンゼルスの看板選手トラウトの打ち方を取り入れ、構えのグリップ位置を上げた。しかし、あくまでも引き出しのひとつでコピーではない。この日はトラウト打法にノーステップ打法をミックスさせた。

繊細さもある。ケガから復帰の今季も規定打席に達し、453打席を数える。疲労蓄積から招くバランスの崩れは“左打ち”で整える。「(打撃は)バランスが重要。知らない間に崩れてしまうので、逆振りで調整しないと」。試合前から左でティー打撃し、ネクストバッターズサークルでも左で素振りすることもある。

向上心は尽きない。緒方監督が「3ボールから一振りで決めてくれた。素晴らしい打撃」とたたえても、本人は満足しない。「4番として(重い空気を)こじ開けられなかった」と11日まで喫した6連敗の責任を背負う。チームはマジックを6に減らし、最短Vは20日阪神戦。そこから9連戦となる本拠地胴上げの可能性が高まった。若き4番の心はチームを頂点に導いてこそ満たされる。【前原淳】