さあ、甲子園で矢野燿大2軍監督(49)の胴上げや! ウエスタン・リーグ首位を走る阪神2軍は今日から2位ソフトバンクとの直接対決3連戦。19日の初戦(鳴尾浜)を勝てばマジックナンバー2が点灯し、20日にも8年ぶり16度目の優勝が決まる。20、21日は開催球場が鳴尾浜から甲子園に変更され、指揮官は聖地のファンと歓喜を分かち合うべく、闘志全開。まずは今日19日、先手を取って王手をかける。

最高の舞台が整おうとしている。2位ソフトバンクが3連敗し、覇権がぐっと近づいた。今日19日からの直接対決3連戦。初戦に勝てばマジック2が点灯し、2連勝なら優勝が決まる。矢野2軍監督の冷静な語り口にも、強い思いがにじんだ。

「せっかくチャンスがあるなら甲子園で決めたいね。甲子園ならもっとたくさんの人に来てもらえるから選手も励みになるし。タイガースファンは一番喜ばせたい人たち。2軍とはいえ、ファンの方を喜ばせたい」

優勝争いを受け、球団は14日に開催球場の変更を発表。20、21日の舞台は鳴尾浜から甲子園に移された。粋な計らいにも応えようとしている。阪神2軍のウエスタン・リーグ制覇となれば、平田勝男現1軍チーフ兼守備走塁コーチが率いた10年以来、8年ぶり16度目だ。

最後までスタイルを貫き、栄冠を狙う。「1年間『超積極的』をテーマに戦ってきて、最後に変わるのはどうかな。残り6試合、今までやってきたことをやりきりたい」。12日にはシーズン盗塁数を158まで伸ばし、ウエスタン・リーグ記録を更新。リーグトップ25盗塁の島田を筆頭に、江越、熊谷が同2位の23盗塁をマーク。積極果敢な姿勢、失敗を恐れないチャレンジ精神が若虎を引き上げ、勝利を重ねてきた。さらに「細かい継投はそんなにしてないんだけど、そういう継投もちょっとやってみようかなというのはある」と攻めの継投も示唆。聖地の虎党と喜びを分かち合うため、勝負手は惜しまない構えだ。

ただ、ソフトバンクも簡単な敵ではない。有望な若手に加え、2軍調整中の内川、デスパイネが出場する可能性もある。「優勝争いをできること自体も大きいし、その中でそういう選手と対戦してピッチャーも何か感じたり。常々言っているけど、2軍で野球やるために阪神に入ってないし、1軍でやるために入ってきてるから。そういうのを体で感じられるのはいいこと」。1軍の主砲クラスとの対戦も貴重な経験と捉える。次世代を担う若虎の育成、1軍への戦力供給に心血を注いできた矢野2軍監督が、甲子園で宙を舞う。【吉見元太】