ヤクルトが3年ぶり5度目のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。先発の小川泰弘投手(28)が「巨人キラー」ぶりを発揮。7回1失点で8勝目を挙げ、巨人戦8連勝を飾った。チームも70勝に到達し、7年ぶりに巨人戦で勝ち越した。13日開幕のファーストステージ(3試合制)進出が決定し、今日2日のDeNA戦(神宮)に引き分け以上なら、本拠地開催となる2位が確定する。

ホッとした表情で、小川が勝利のハイタッチの列に加わった。7回を阿部のソロによる1失点に抑えて8勝目を挙げ、球団では金田正一以来60年ぶりの巨人戦8連勝。チームも70勝に到達し、3位以上を確定させた。「大事な試合だったので役割を果たせて良かった」と頬を緩めた。

気合の入り方が、いつも以上だった。9月24日の中日戦に先発予定だったが、前日練習で腰の張りを訴えて登板を回避。「初めての感覚というか、やばいなと正直思ったのもありました」。軽症で離脱は避けられたが、表情は曇ったまま。巨人戦の好相性の話題にも「過去の結果なので関係ない。巨人も意地になってやってくる」と一蹴した。「アクシデントで迷惑をかけた。勝利に貢献できるよう目の前の打者に集中する」。エースの責任感で、闘志がたぎっていた。

だからこそ、後先考えずに初回からとばした。左足を高々と上げる“ライアン投法”で、腰の不安を一掃。1回2死三塁のピンチでは、4番岡本を145キロのカットボールで空振り三振に仕留めた。その後も力強い直球とキレのあるカットボールを軸にアウトを重ねた。「この一戦に懸ける気持ちで入った。1球1球の積み重ねで飛ばしていった」。開始からアクセル全開で踏み込み、エースとしてチームに加速度をつけた。

昨季は96敗の借金51と、チームは屈辱にまみれた。小川も配置転換された守護神では打ち込まれ、右肘を痛めて手術するなど、奥歯をかみしめ続けた1年だった。「この位置で戦えるのが幸せ。残り試合は少ないけど全力で、100%で投げられるように準備したい。(巨人戦8連勝の)イメージはお互いに絶対あると思う。次は気迫でくるので自分も成長していかないといけない」。雌伏の時をへても、まだ満足しない。勝ちに飢えた燕軍団が、今日にも2位を確定させる。【浜本卓也】