列島を熱狂させた金足農(秋田)吉田輝星投手(3年)は、静かにドラフト会議を迎える。24日はいつも通りにチームメートと同校で練習した。好きな球団に巨人を挙げたこともあったが、12球団指名されればどの球団でも行く考え。泰然と天命を待つ。外れ1位での指名で、複数球団が重複する可能性が十分にある。

吉田は運命の日を前にしても変わらなかった。午後4時過ぎ、授業を終えて練習に参加。ウオーミングアップでは終始笑顔でリラックスムードだった。10日に学校で行ったプロ志望届提出の会見では「どのチームに行っても、しっかり努力しようと思います」と話した。国体後もトレーニングを続けており、ユニホームの下半身ははち切れんばかり。体重も甲子園の時より2キロほど増したという。

約30分間行ったキャッチボールは徐々に距離を伸ばし、約60メートルの遠投になった。6割ほどの力でライナー性の軌道を描きながら打川和輝内野手(3年)のミットに収めた。その後はマウンド間ほどの距離に近寄り、打川を立たせて10分ほど投げ込んだ。変化球を多投したのは、自分なりに課題を感じてのことだろう。プロ入り後に目を向けた準備は、すでに始まっている。

前日の時点で吉田の1位指名を公表する球団はなかった。だが、大阪桐蔭・根尾の1位指名を公表した巨人は、直前のスカウト会議まで吉田を1位候補に残した。甲子園で準優勝を果たし帰郷した際「巨人が好きです」と話し、行きたいか? の問いに「行きたいです」と答えた。外れ1位で憧れの球団に入団できる可能性は十分ある。甲子園終了後に評価を上げたドラフト巧者の日本ハムも、最上位の候補に残している可能性が高い。

吉田はこの日、投球練習後はノックバットを手に取った。内野照明だけでは暗くなる午後5時半まで、肌寒い中チームメートにノックをし、静かに練習を終えた。この夏は甲子園で熱戦を演じ「カナノウフィーバー」を巻き起こした。一躍、日本中から知られるようになった右腕が迎える運命のドラフト。再び注目を浴びる。