元阪神投手で、引退後に猛勉強して公認会計士となった奥村武博氏(39)が4日、「地域別県民文化大祭典2018オータムフェスティバル名古屋・中川区会場」(中川区役所講堂)で講演を行った。「プロ野球選手から公認会計士へ~人生を変えた『資格』との出会い~」と題し、集まった中高生や父兄、教職員ら約200人に、自身の厳しい体験を踏まえて約1時間熱弁を振るった。

奥村氏は岐阜・土岐商3年の時に素質を買われてドラフト6位で阪神に入団。同期には1位中谷仁、2位井川慶らがいる世代で、期待されるも1軍登板なく戦力外通告に。さらに打撃投手も1年で解雇されて職を転々としたが、そのどん底から自身を見つめ直して資格に挑戦。医師、弁護士と並ぶ三大国家資格の難関「公認会計士」に9年かけて合格した。元プロ野球選手では初の快挙で、その経験を生かしてセカンドキャリアの重要性などを強く訴えている。

今オフに監督に就任した中日与田監督とは、阪神時代2軍のロッカーが隣同士だったなどのエピソードも披露して笑いを誘う一方、苦しかった引退後の話には会場もしんみり。「人生で超えられない壁は1つだけ。それは自分が作る壁です」と、中高生たちに挑戦する勇気を強調していた。