赤星さん、超えさせていただきます! 阪神ドラフト1位の大阪ガス・近本光司外野手(24)が15日、西宮市内のホテルで仮契約を結び、1年目の目標に「新人王&盗塁王」のダブル取りを誓った。契約金1億円と出来高5000万円、年俸1500万円(金額は推定)は新人最高条件だ。背番号は未定。赤星憲広が1年目にマークした39盗塁超えを目指す新人が、猛虎の新快足伝説をつくる。
端正な顔立ちで、近本は真っすぐ前を見つめた。仮契約を結び、踏み出した新たな1歩。マイクを持つと「僕の足にびっくりしないように、応援よろしくお願いします」とファンにメッセージを送った。50メートルを5秒8で駆け抜ける俊足が最大の武器。即戦力として、夢も大きく掲げた。
1年目の目標を問われると「1年目でしかとれない新人王」を最初に掲げた。さらによどみなく続ける。「盗塁王を目指して頑張っていきたい」。阪神でのダブル受賞となれば、01年の赤星憲広以来となる。担当の畑山スカウトも「赤星が入ってきたときと比較しても脚力と打撃は遜色ない。今年に入って盗塁技術も高まっている」と太鼓判を押した。
バリバリに赤星を意識した近本。プロを意識し始めた社会人2年目から、赤星の動画を繰り返し見た。「土の球場で盗塁王はすごいし、そういう選手になりたい。盗塁で一番大事なトップスピードに乗るまでが短く、自分と比べても歴然」と語る。それでもプロ1年目に39盗塁だった赤星超えを目指し、「40個くらいはしてみたいなと思っています。2世というよりは、超えるような選手になりたい。目指していかないといけないと思っています」と力強い。
熱心に研究も重ねた。グラウンドから離れても、動画に没頭。赤星ら快足の野球選手だけではない。「陸上やスピードスケートのスタートなど、研究して野球につなげられそうだったら挑戦もしてみています。氷の上では力だけではなく、体の使い方や足の使い方が大事だと思ったので」と明かす。小平奈緒の骨盤の使い方にも話が及び「やろうと思っても出来ない」と笑う場面もあった。
広い甲子園は近本にとって最高の舞台となる。走力はもちろん、広い守備範囲でも沸かせるつもりだ。「右中間左中間が広い。外野の守備力も大事だし、走力も大事。自分を生かせる球場だと思っています。グラウンドを駆けめぐって、チームを勢いづけたい」。170センチの大きくはない体。新たなスピードスターを目指し、近本がプロの世界を駆け抜ける。【池本泰尚】
◆近本光司(ちかもと・こうじ)1994年(平6)11月9日生まれ、兵庫県・淡路市出身。野球は学習小2年時に仮屋クラブで始め、東浦中では軟式野球部に所属。社高では最速141キロの投手兼外野手で3年夏は県大会8強。甲子園出場経験はなし。関学大を経て16年大阪ガスに入社し、法人住宅営業部に所属。今夏の都市対抗では打率5割2分4厘でMVPにあたる「橋戸賞」を獲得し、チームを日本一に導いた。今年3月に中学時代の同級生、未夢(みゆ)夫人と結婚。