ソフトバンクのFAダブル獲得は夢と消えた。西武から国内FA権を行使した浅村栄斗内野手(28)が20日、楽天への移籍を決断。獲得に動いていたソフトバンクには断りの連絡が入った。その一方で、オリックスからFA宣言した西勇輝投手(28)とこの日、2度目の獲得交渉を行っていたことが判明。もう1つの争奪戦に全力を注ぐ。

ダブル獲得はならなかった。ソフトバンクのもとに、浅村から断りの連絡があった。午後7時前に、三笠球団統括本部本部長は浅村の代理人から断りのメールを受け取った。「今回は他球団でプレーする決断をしましたということだった。我々としては最大限の誠意を持ってオファーしたつもり。残念です」。他球団よりも高い4年総額28億円の大型契約を提示したが、実らなかった。「若手はチャンスだと思って、チームを底上げしてほしい」。気持ちを切り替えて若手の台頭を期待した。

オフの補強はまだ終わっていない。今後はオリックスからFA宣言をしている西の獲得に全力を注ぐ。この日、非公開で2回目の交渉を行っていた模様だ。交渉解禁日となった16日に電撃交渉。西サイドが2度目の交渉を要望しており、速攻で再びテーブルに就いた。すでに4年の大型契約を提示している。三笠球団統括本部本部長は「(我々が)誠意ある対応をして、ぜひホークスに来てほしい」とラブコールを送った。

浅村争奪戦に敗れたため獲得資金が浮いた形になるが、「浅村選手は浅村選手、西選手は西選手」と同本部長は説明。西に提示した条件の上積みなどは現時点で検討していない。待望の先発右腕は「どれだけ自分を必要にしているのか」と話している。阪神などとの争いを制するためには金銭面の好条件だけでなく、熱意を見せる必要がある。リーグ優勝の奪回、3年連続日本一へ向け、もう1つの争奪戦は負けられない。【石橋隆雄】