不屈の松坂世代がプロ17年目のスタートを切る。広島永川勝浩投手(37)が12日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、現状維持の2000万円プラス出来高払いでサインした。同世代が次々と現役を引退し、NPBで来季もプレーするのは8人となったが、変わらぬ闘志で4連覇の原動力になる決意だ。サプリメント、食事制限なども取り入れ、完全復活を目指す。

永川は現状維持、年俸2000万円プラス出来高の提示を黙って受け入れた。昨年9月の左膝クリーニング手術を経て2年ぶりに1軍復帰し、登板22試合で2勝0敗5ホールド。「球団からは選手として1軍で結果を出せるようがんばってくれと言われた。僕の考えと変わりない」。正式な会見を拒否し、囲み取材にしか応じなかったのは、成績に満足していない証拠だった。

不屈の松坂世代だ。今季は新たに巨人杉内、DeNA・G後藤、中日工藤、オリックス小谷野、日本ハム矢野が現役を退いた。NPBで残るのは阪神藤川、ヤクルト館山、ソフトバンク和田、日本ハム実松、楽天久保と渡辺直、そして松坂と永川の8人だ。それでも周りを見るより前だけを見つめている。

「年で野球やってるわけじゃない。選手として契約してもらっている以上、誰よりもいいピッチングをしたいと思っている。同世代がいたりやめたりってのはこの年になると仕方ない」。松坂については「雲の上の人。同じ立場にいると思ってない」と話した。

完全復活に向け、考え方も変えた。「この年になってやっと、サプリメントとか飲んでみようかなと思ったり。若いころはメシだけ食っときゃいいと思ってたけど、食事の量も減らさないと体重も増えるので…」。トレーニングにも細心の注意を払う。「やっぱり全力で走ると、どこかがピリッときそうだとか、心配はいろいろある。けがをしないようにきつい練習をやっていきたい」。

かつて年俸1億6000万円を稼いだ過去に、しがみつくつもりはない。「常に1軍にいる、というイメージで来年はいたい」。4連覇に貢献することだけを考え、一野球人としてひたむきに高みを目指す。【村野森】