日本ハム田中賢介内野手(37)が25日、来季限りで現役を引退すると発表した。札幌市内の球団事務所で1000万円減の6500万円プラス出来高で来季契約を更新した上で、異例の早期公表に踏み切った。

「2019年シーズンをもって引退します。ファイターズが日本一になれるように、最後の1球まで野球選手として全力でがんばっていきます」

前年オフの引退宣言は極めて異例。理由には「僕の気持ちは変わることはない。ある意味、周りがやりやすくなるかなと僕自身感じた。早く引退宣言をした方が気を使わせなくて済むかなと自分なりに思った」と周囲への配慮があった。

15年に日本復帰。16年はフル出場で日本一に貢献も、17年後半から出場機会が減少。次世代への継承と自身の立ち位置の急激な変化にも悩みながら、現役続行を決断していた。「いろんな葛藤がありながら…。ファイターズに育ててもらった分、次の世代へなんとか良い形でつないでいってほしいなという思い、だけど自分もプロ野球選手としてやらなきゃいけないという複雑な心境の中、この2年間はプレーしていた」。

今季開幕前には家族に今季限りでの現役引退の可能性も伝えていた。その中で今季後半はスタメンで結果も残した。規定打席未満も打率2割9分5厘で終えて「少しチームに貢献できた」との思いがあった。球団からも強く慰留され、あと1年の決断へつながった。ラストイヤーで目指すは「日本一のみ。ちゃんと燃え尽きるまでやろうと思っています」。プロ20年目となる来季、集大成を最高の形で終える。【木下大輔】(金額は推定)

◆田中賢介(たなか・けんすけ)1981年(昭56)5月20日生まれ、福岡県出身。東福岡から99年ドラフト2位で日本ハム入団。12年オフにジャイアンツ移籍も、1年で自由契約。14年はレンジャーズのマイナーに所属し、15年日本ハム復帰。ベストナイン6度はパ・リーグ二塁手最多。ゴールデングラブ賞5度。176センチ、78キロ。右投げ左打ち。

<引退表明が早かった主な選手>

◆新庄剛志(日本ハム) 06年4月18日オリックス戦(東京ドーム)での本塁打を「28年間思う存分野球を楽しんだぜ。今年でユニホームを脱ぎます打法」と命名し、試合中に引退表明。お立ち台でも「今シーズン限りでユニホームを脱ぐことを決めました」と改めて宣言した。

◆立浪和義(中日) 08年の契約更改で、翌年限りでの引退を表明。同年は代打の切り札として起用されるも打率2割5厘と不完全燃焼。「いろいろ考えて出した結論が、もう1年やるということだった。(引退は)自分の中ではそう決めています」と断言した。

◆井口資仁(ロッテ) 17年、交流戦終了後の6月20日に「今季限りでユニホームを脱ぐことを発表させていただきます」と表明。当時のチームは最下位で、引退発表を自ら「起爆剤」と表現。「みんなで1個でも上の順位を目指したい」と鼓舞した。