旺盛なチャレンジ精神を、かき立てた。オリックスから日本ハムへ移籍した14年沢村賞右腕、金子弌大投手(35)が7日、関西国際空港から自主トレ先の米ロサンゼルスへ出発。かねて栗山英樹監督(57)が興味を示していた「オープナー」としての起用について「実現できたらおもしろい。先駆けの存在になれたら」と、大歓迎した。その理由とは?

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「沢村賞右腕」という勲章がありながら、先発へのこだわりは一切、なかった。日本ハムの一員となった金子は「自分の口から『先発にこだわりはない。どこでも投げます』というのは伝えてあるので」と、昨年12月に栗山監督と顔を合わせた日のやりとりを明かした。「どこでも」の中には、昨季、メジャーで話題となった「オープナー」も含まれる。本来はリリーフの投手が、先発として序盤の短いイニングを投げる起用法で、新しい概念だ。

金子 やりがいもあるし、僕、飽きっぽいので。新しいことをすぐにやりたくなる。先発しかできないって思われるのもイヤですし、どこでも投げられると自分では思っている。

栗山監督は昨年末に「開幕3連戦で3戦連続、金子弌大が先発とか」と、オープナーとして金子の起用をにおわせた。本人は「さすがに開幕カードではどうかな…」と古巣相手の演出には苦笑いも「どこかで実現できたら僕もおもしろいと思うし、楽しみ。最初の選手じゃないですけど、先駆けの存在になれたらなと」。むしろ、新たな挑戦を希望している。多彩な変化球を操り、投球術では球界屈指の呼び声高い知性派は、目前に広がる自分の可能性を楽しみにしていた。

右肩などを痛め、8月中旬以降は登板機会がなかったが「11、12月と例年以上に投げられている実感はある」と、自主トレは順調のよう。11月の米シアトルに続き今オフ2度目の渡米で、2週間ほど滞在の予定。故障の不安を取り除くため「肩周り、肩肘、肩甲骨、投げる時に重要な部分の強化と持久力と安定性の3つを意識してやっていきたい」と、目的は明確だ。

「まずは1軍で投げることが大事」。新しい役割を担う投手が、日本球界に誕生するか。【中島宙恵】