ソフトバンクのドラフト3位野村大樹内野手(18=早実)が7日、「王ブック」とともに福岡・筑後市の若鷹寮に入寮した。高校通算68発の長距離砲は、早実の先輩でもある王球団会長について書かれた愛読書を持参。本に刺激を受け、現役時代の王会長がノルマにした1日500スイングを超える1日800スイングでプロ入り。今後はファーム施設の170キロ打撃マシンなどで腕を磨き、王球団会長のような国民的強打者への道を歩むつもりだ。

筑後の室内練習場の一塁ベース横に正座し、野村は本を開いて笑顔を見せた。手にしたのは「名将・王貞治 勝つためのリーダー思考」。初版は07年と12年前で、何度も読んでいる。実業家・松下幸之助氏の本と2冊を選び寮へ持ち込んだ。

読書家だ。京都にある同志社中へ兵庫の自宅から通う片道2時間は本を読み込んだ。今も年間100冊は読むという。「怪人二十面相、三毛猫ホームズは全部読みました。落合(博満)さんの本とかも」と笑う。1日1冊は読む本好きの父大地さん(45)から影響を受けた。

そのおかげで王球団会長の現役時代に触れ、刺激された。「王さんは毎日500回バットを振るというのがあった。中学では300回だったが、高校では王さんより多く800スイングしています」。早実時代は1日素振り500回と打撃練習が300回を目安に続けた。本で読んだ知識を目標に変え、スイング数ではすでに王会長を超えている。初詣に出かけた元日も休まずスイングした。

寮の隣には室内練習場があり、24時間いつでもマシン打撃ができる。170キロの直球や145キロのスライダーも設定でき、施設見学時に打席に入って体感済みだ。「170キロは見えなかった。スライダーはサファテ選手が投げるようなエグイ球だった。このレベルを100%狙って打てないと」。これまでも眠れない夜は素振りをしたが、これからは夜中でも球を打てる。「恵まれた環境をしっかり使って上のレベルを目指していきたい」。初めての寮生活でも変わることなく、書物から学び続け、早期1軍入りを狙う。【石橋隆雄】