昨季限りでソフトバンクを自由契約となっていた摂津正投手(36)が8日、福岡市内のヤフオクドームで現役引退会見を開いた。

紺のスーツ姿で会見場に現れると自らマイクを持って「引退表明」した。

「本日をもちまして現役を引退することになりました。本当に今までありがとうございました」。

昨年11月の戦力外通告から約2カ月。12球団トライアウトは受験しなかったが、12月までは現役続行を目指してトレーニングを積んだ。師走に入っても他球団からのオファーはなく、昨年暮れに引退を決意した。「正直、厳しいだろうな、というのはありました。少しでも可能性があれば(現役を)やりたいと思っていた。不安もあったし、ずっとモヤモヤした気持ちはあった。悔いはない。今は意外とすっきりしています」と引退決意への経緯を話した。

摂津は社会人・JR東日本東北から08年ドラフト5位で入団。1年目の09年から中継ぎとして70試合に登板。10年には2年連続で70試合以上に登板してソフトバンクとしてのリーグ初Vに貢献。11年からは先発に転向し、14勝8敗の活躍でリーグ連覇、初の日本一の立役者となった。12年には17勝をマーク。最多勝、沢村賞も受賞した。先発転向から5年連続で2ケタ勝利をマークするなど常勝ホークスの原動力となった。

ここ3年は登板数も激減したが、昨年5月22日の西武戦(ヤフオクドーム)では618日ぶりの白星を挙げた。その勝利について「プロ入ってうまくいき過ぎていたこともあり、1つ勝つのがこんなに難しいと思いました」と振り返った。

会見場には先輩・和田から花束も届けられ「摂津へ 本当にお疲れ様 またホークスに戻ってきてください」のメッセージも添えられた。

今後については未定。通算282試合に登板し、79勝49敗1セーブ、防御率2・98。「10年間もやれるとは思っていなかった。応援感謝しています。これからもホークスを応援していただけたら」とファンへ感謝のメッセージも忘れなかった。