広島からFA移籍した巨人丸佳浩外野手(29)が10日、川崎市のジャイアンツ球場で自主トレを公開し、泰然自若の孤高トレで始動した。テレビカメラ6台、約50人の報道陣が集まる中、広島時代と同様に1人黙々と約3時間のトレーニング。ティー打撃では左手、右手、逆手打ちと3種類を織り交ぜ、マシン打撃でも強打、軽打、流し打ち、引っ張りとテーマを設定しながら、計296スイングした。

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丸の息づかいとカメラのシャッター音が室内練習場に響いた。自らの体と対話するように、1人黙々とダッシュなどで汗を流した。気温4度と冷え込む中、シャツに汗がにじむ。「これだけのテレビカメラの前で練習するのはなかなかないので、変な感じがした」と言いながら、惑わされず、スタイルを守った。

バットを持っても、“丸流”だった。ティー打撃では「シュッ」と息を吐きながら左手、右手、逆手打ちの3種類を計80スイング。マシン打撃では流し打ち、引っ張りと1球ごとにテーマを決め、216スイングした。「まだまだ自分のイメージとばらつきがあるので、徐々に体にしみ込ませていけたら」と話した。

己を貫く姿は、07年に日本ハムから巨人にFA移籍した小笠原(現中日2軍監督)と重なった。小笠原も移籍1年目のジャイアンツ球場初練習で“ガッツ流”を継続。小さなグラブを使うノック、片手ティー打撃など自己流を貫いた。サムライと呼ばれた小笠原同様に、「(ベストの形を)探しながら、感じながら」スイングを重ねた。

この姿こそ、原監督が丸に求めることだった。「新しい血を入れてほしい。カープでやってきたものをジャイアンツに持ち込んでほしい」と望んだが、初日からその姿を周囲に示した。かつて、小笠原がアーリーワークをチーム内に浸透させたように、“丸流”が4年連続V逸のチームに刺激を与え、変化させる。

野球はスタイルを継続するが、道具は巨人スタイルに変えた。広島ではピンクがトレードマークだったが、シャツなどの刺しゅうをイエローに変更。明るく、ポジティブな印象を抱かせる黄色に新天地にかける思いを込めた。「数字は考えてませんが、全試合出場は数少ないこだわりでもあるので、達成できるように頑張りたいです」。太陽のように、エネルギッシュにプレーする。【久保賢吾】